啓蟄

陶片と古墳、グラスアートを見に

 春めいた陽気に誘われて久しぶりにお出かけ。東濃の土岐市と多治見市である。

 土岐市美濃陶磁歴史館が、このたび建て替え前の休館に入るということで、収集の陶片2000点の展示会を行っている。

 土岐市の元屋敷という古窯は荒川豊蔵に発見された安土桃山時代の窯跡である。16世紀末から17世紀初頭まで、当時の茶人にもてはやされた「美濃桃山陶」の中心地であった。跡地から出てきた大量な志野、織部、黄瀬戸、瀬戸黒はかってのゴミだが、今や歴史を語る重要文化財である。

 失敗作(ゴミ)といってもどこがと思うような完成品もある。花器・茶道具・茶懐石の器がほとんどで渋味の色合い、斬新で飄逸な文様、歪んだ形など今に繋がる美意識が溢れている。

 歴史館の近くに古墳が二基あるというので、歩いて見に行く。

段尻巻古墳(円墳)

乙塚古墳(方墳)

 

 飛鳥時代(7世紀前半)の方墳と円墳である。方墳は美濃地方最大級の横穴式石室をもち、円墳もこの地方最大級である。被葬者はこの地方の当時の豪族であろう。どちらも芝がはられて綺麗に整備されている。

 昼食に「道の駅・どんぶり会館」へ。やや高地にあり、御岳の雪嶺が見事。店ではいつものように味噌ではなく、珍しい醤油と枝豆の種、鍋敷き、手作りパンを購入。

 帰り道にあたる「岐阜県現代陶芸美術館」による。ここは二回目の訪問だ。今は「フィンランドのグラスアート展」を開いている。戦前から現代までかなりの量の作品が来ている。これはまあ、美しいというしかない。

 ショップで多治見の若手作家さんの「猫皿」を買う。物を増やさないつもりなので、さんざん迷っての購入。幼稚だと笑われそうだ。

 

     啓蟄や掘り出されたる志野織部