紫木蓮

映画「リトルフォレスト」夏秋冬春を観る

 桜は散り初めだが、木蓮はあっという間に若葉に変わってしまった。昨日は大雨になるというので、急遽花がらを片づけた。濡れればへばり付いて手に負えなくなると踏んでのことだ。前もって手伝いを頼まなかったので、仕方なく一人でやる。連れ合いは大量の夏落葉と剪定木の始末をしているので、こんなことまでは頼めない。落花だけで大きな塵袋にいっぱいあった。すっかり変色してはいるが、匂いは甘い。堆肥山に積んで、土に返してやる。まさに、花の盛は短くて・・・である。うちに来て半世紀はなるだろうか。思わぬ大木になって、落ち葉の始末から、剪定と世話が大変だ。リビングのワックスがけをした後だったので、へろへろになってしまった。

 

  

        ちりてなほ甘きかをりぞ紫木蓮

 

 

3月29日満開

4月9日 若葉

さて、映画である。

 リトルフォレスト(小森)という東北の山あいの小さな集落で、自給自足的生活をする若い女性いち子の話。 町での暮らしに失敗して帰ってきたらしい。かって母親と暮らしていた家だが、どんな事情か母親は不意に家を出て行って、今は全くの一人暮らしだ。米を作り野菜を育て、野山の恵みを活用する。これが、実に豊かな食生活なのだ。おそらくプロの料理人の知恵が活かされているのだろうが、食材は素朴でも知恵さえあれば美味しいものは無限にあるのだと気づかされる。

 夏は自家製トマトのパスタ、麹から作る米サワー、みずのとろろ。秋はクルミの炊き込みご飯、アケビの炒めもの、栗の渋皮煮。冬は小豆からあんこを煮てお焼きに春は蕗味噌。主演の橋本愛が作り、美味しそうに食べる、食べる。米作りも冬の薪作りも相当の重労働だと思うのだが、悲壮感のないのがいい。 橋本愛がたくましく、健康的な女性を演じ、孫を見るような愛おしさを感じさせる。

 しかし、村の仲間から所詮、町の暮らしから逃げて来たのではないかと指摘された彼女は、春になって村を出る。そして、5年後、足元を見つめた彼女はパートナーと一緒に村に帰ってきた。今度は村の一員として村に根付いて生きていくために。

 2014年制作。春夏秋冬の四部作。主演は橋本愛 共演三浦貴大。フードディレクションはeatip。五十嵐大介氏の漫画が原作。

舞台になる東北の田舎の四季が美しい。この作品で、すっかり橋本愛のファンになった。魅力的な俳優さんだ。