近頃観た映画
ヒューマンドラマというのは、「よかったなあ」と思うだけであまり何かを語りたいものではないが、最近観た二本の映画について記録のためにメモすることにした。
『さいはてにて やさしい香りと待ちながら』
2015年公開の邦画。ただし監督は台湾人のチアン・ショウチョン(女性)、主演は永井博美。
四歳の時父母の離婚で別れた父親を、彼が住んでいた海辺の廃屋を改装したカフェで待ち続けるという話である。観終わって気づいたのだが、ロケ地が石川県珠洲市の木ノ浦海岸。調べると当然ながら今回の地震で大きい被害があった地域のようだ。映画のモデルになったカフェは倒壊を免れたようで、地域の人の憩いになっているらしい。よかった、よかった。美しい海の景色とカフェ、平常に戻ったら訪ねてみたいところだ。
『コーダあいのうた』
2021年公開。アメリカ・フランス・カナダの合作映画。アカデミー賞三冠受賞。
コーダというのは耳の聞こえない両親に育てられたが聴力に問題がない子供を言うらしい。最近までこの言葉を知らなかったのだが、NHK社会派ミステリードラマ『デフ・ヴォイス』で初めて知った。このドラマでコーダを演じたのは草薙君で、実になめらかな手話の演技で驚きもし、感心もしたのだ。このドラマではろう者俳優が当事者を演じていたのも良かったが、映画の方も父親役でアカデミー助演男優賞をとったのは有名なろう者俳優ということだ。
コーダとして家族の耳代わりで働く娘が音楽的才能を見出され、家族のためか自分の道かその選択に悩む話である。難しい選択だったが、ヒューマンドラマだからすべてはうまくいった。
三島由紀夫でないが、ハッピーエンドでない映画は観たくないから、(三島がこう書いていたらしい)これでよかった。
スニーカー洗ふ陽だまり春の風
朝のテーブルで連れ合いと家に来たことのある鳥の名前を書き出した。雀から始まって先程思い出したのも入れると29種類。隣に川があるので水鳥もある。一回だけ来たのはキレンジャク。南天の木に来たのをノラッチ(当時いた猫)に一羽がやられて可愛そうだった。
同じピラカンサの木。あんなにあった実を冬が終わるとともに食べ尽くした鳥たち。