映画『魂のまなざし』を観る
2020年フィンランド映画。フィンランドの国民的女性画家(らしい)ヘレン・シャルフベックの伝記映画。
老齢で頑迷な母親と暮らしながら孤独に独自な創作活動を続けていたヘレン。ある日画商が訪ねてきて、彼女の絵の魅力が発見される。都会での個展、競売、転がり込む大金は家長のものと主張する兄。19世紀の話で、男性優位で抑圧的な社会だ。
そんな中ヘレンは画商が伴ってきた年下の青年、エイナルと親しくなる。彼女の絵のファンであるエイナルとの触れ合いは、描く活力にもなり、密かな恋心も芽生えさせるのだが・・・。
静謐な画面が美しい。斜めに差し込む光に照らし出された画室は、まさにフェルメールの絵画だ。蝋燭の灯りと暗い室内に浮かび上がる陰影のある表情。光も効果的だが、構図を意識したカメラワークもいい。北欧の美しい季節や湖。
カメラだけではない。少ない台詞と際立つ効果音。床を蹴る靴音、キャンバスを削るナイフのきしみ、小鳥の声。
音楽は不明だが、Tによれば一部にバッハのアダージョが流れる。
すでに初老を思わせるヘレンの恋は破綻した。病に倒れ、長い苦闘の果に彼女は再起する。
エンディングに何枚かの彼女の絵画が紹介されるし、ネットでも見られる。何枚かの自画像のまなざしが印象的だ。やや老いた自我の強そうなヘレンを演じた俳優がよかったが、若いエイナル役は好みではなかった。それが、この作品の唯一の欠点だと言ったら、Tに笑われた。
七五三身丈にあまる飴袋
今日は七五三の日。わが家はちゃんとした七五三をやった覚えがない。働いていて忙しかったせいもあった。ちょうど連れ合いが海外単身赴任中、産土神で上が五歳下が三歳、普段着をちょっとだけ変えて飴を持たせて写真を撮った覚えがある。二人は覚えていないかもしれない。何ということはない七五三だった。