梅開く

『お墓、どうしてます?』 北大路公子著

 軽いエッセイである。いつもちっとも読む気がおきない本ばかりの新聞の読書案内にあった。全く意外や意外で、藤田香織さんの紹介である。

 お父さんが亡くなって、お墓をどうするかという話である。どうするどうすると逡巡しているうちにコロナのまん延。ともかく市営墓地の抽選には当たったものの、最後までお墓は買わずじまい。飼ったのは猫ちゃんでしたという結末。面白くて笑っちゃった。

 お墓がないのも困るかもしれないが、あるのもねぇ。うちは父の造った墓があるが、Tの先で途絶えそうなのでどうなるのだろう。心配したら、「あんたの考えることでない」と叱られた。確かにそうで、死んでからのことは知りません。

 市営の永代供養墓を見学にいった知り合いの話では、棚があってそこにずらりと並べる形式で、何年か後にひとつところにまとめるらしい。

 都会のまっただ中で、姉が買った墓は、お寺の地下のロッカーである。鍵を開けてお参りするのだが、なんとも味気ない。その代わり草も生えないし、お供えの必要もない。お花もお参りしたらすぐに片付けなければならない。

 散骨が一番だと思うのだが、違法ですかねぇ。

 

 

 

        愛称で呼ばるる在所梅開く

 

 

 昨日のこと、雨になるというので散歩がてらドラックストアまで買い足しに出かけた。

 「○○ちゃんよ」とMさんが連れの女性に教える。「えっ○○ちゃん?」Mさんの妹のみっちゃん、小学校の同級生である。「まあ、何十年ぶり?」とわたくし。みっちゃんは確か隣町にお嫁入りされていたはずだ。小学校の頃こそ毎日のように遊んだが、その後はあまり親しくはなかった。マスク越しだが、みっちゃんはつややかな髪をセットして若々しい。こちらは半白髪でなんともはや、ドラックストアのウインドウに写して落ち込んだ。