「川瀬巴水展」を観る 三重県菰野 パラミタミュージアムに於いて
川瀬巴水は大正期から昭和にかけて活躍した版画作家。「旅情詩人」と称されたように旅心を誘う美しい風景画をものにした。
初期作品から晩年作品まで279枚の展示である。驚くほど多作である。制作日が近いのをみると、旅に出れば、一気に描きあげたらしい。
夜の風景も水辺の景色もよいが、一番気に入ったのは影しるき真昼の少路を描いた「金沢下本多町」。連れ合いの評によれば、印象派の絵のようだ。あとは朱色をふんだんに取り込んだ「芝増上寺山門」や「増上寺の雪」など。Tは構図が現代的で青の発色が素晴らしいといっていた。
戦後は海外での評判が高く、アップルのジョブス氏もお気に入りだったようだ。
ネットでもいくらかは鑑賞できるのでぜひご覧いただきたい。
ここのミュージアムは江戸時代の万古焼の小品をいくつか展示されているのだが、これがいい。どれもこれも垂涎の的だ。同時展で、女流陶芸家の辻輝子展も開かれていたが、この人の作品も女性的感性がいっぱいで、可愛らしくてよかった。皇太后美智子さんからの寄贈品もあった。
総時間1時間10分ほど、真剣に観るにはこのくらいが限度である。美術館を出ると明るい春の時雨。
一瞬で夜叉となる顔春しぐれ
時間を決めて、名古屋のからくり人形師によるからくり人形の実演がある。白皙の若者が夜叉に変身する。