冬芽

映画『阿弥陀堂だより』を観る

 南木圭士さんの同名小説の映画である。2002年制作で、主演の樋口さんも寺尾さんもまだ若い。

 都会の激務でパニック障害を病んだ女医美智子(樋口)、夫孝夫(寺尾)の故郷である山村に移り住むことから話は始まる。彼女は診療所に勤め、小説家だという夫は、妻を支え村人の世話を引き受ける。阿弥陀堂に住む老婆おうめ(北林)や言葉を失った若い女性小百合、夫の恩師幸田夫妻との交流。折々に挟まれる美しい山村の風景。

 自然に囲まれて徐々に自信を取り戻していく美智子。病を得ていた幸田は亡くなるが、彼の意志と刀を受け継いだ演武は、孝夫によりみごとに継承された。

 

 病からの再生は南木さんのいつものテーマである。淡々とした時の流れと夫婦の支え合い、信州らしき山村の四季の風景が美しかった。いくつかの伝統的な行事の描写が挟まれていたが、いまでも残っているのだろうか。北林谷栄さんはこの映画で、日本アカデミー賞助演女優賞を受賞されたらしいが、老婆を演じたらこの上ない人であった。


 

 

        ひとつとて仰がざるなき冬芽かな

 

 

 

 季語がまた冬に戻ってしまった。木蓮の冬芽がびっしり、春にはたくさん咲きそうだ。

 今日は温かい雨。朝のうち「還付申告」をする。今年はひとりで出来たと思ったが、ネットで送信する段になって、お手上げ。結局救援を頼んだ。