夜長

『殺しへのライン』 アンソニーホロヴィッツ著 山田 蘭訳

 難しい本はちょっと置いておいて、久しぶりにミステリーである。こういう本は同じ500ページでも難なく読める。

 今まで読んだ(ホーソーンホロヴィッツシリーズ)の一冊である。ホロヴィッツのミステリーは謎解きの面白さはあまりない。読者にいくつかのヒントを提供して、ともに推理していくという展開ではない。最後にふいに意外な真犯人が明らかに成る。それも探偵だけが知り得たヒントで、である。自己を語らないホーソーンという探偵もあまり魅力的とはいえないが、最後に彼の過去に迫る伏線が残されて、これは次に繋がるらしい。

 何やかや文句ばかり言っても読了した。そうそう日本のものが小道具として登場していた。「サクラ」という高級万年筆である。文学賞の副賞になったらしい。そんないい万年筆があったのかしらん。昔万年筆はパイロットかモンブランかなんて言って、入学祝いに送ったりもらったりしたけど最近はすっかりご無沙汰だ。

 

 

        真犯人ついに明らか夜の長し

 

 撮影をしていたら、同年輩の方が

 「これ何?」「カラタチじゃないんですか。」「こんなにトゲトゲなの?」「だから垣根にするっていいますよね。」「なるほどね。」

 旅先での会話。カラタチの垣根という歌詞の唄があったような気がしたけれど・・・。