夏草

芭蕉の風景 上』 小澤 實著

 前々から気にかかっていた本を読み始める。まずは上巻の半分、芭蕉四十代初めのころまでである。伊賀上野から江戸に出てきて日本橋辺りから深川に住み替え、野ざらし紀行に出かけるまで(芭蕉四十一歳から四十四歳)。この間の俳句を味わい、その背景の地を訪ねるというのがこの本の趣向だ。

 小澤さんの解説によれば、この時期の芭蕉は、初期の談林俳句の言葉遊びを抜け出し、俳句に自分を詠み始め、取り合わせ俳句を発明し、さらに一瞬の感動を詠んだ。これが今につながる大きな試みにもなった。さらに名古屋の門人と五歌仙を巻きあげ、新風を興したのもこの旅のこと。

 芭蕉の句で一番人口に膾炙している「古池や蛙飛こむ水の音」もこの時期の句。旅から帰って芭蕉庵での俳句だが、一瞬を切り取った名句である。この句以外にも好みの名句はいくつかあるが、一つだけ上げるとすれば、「海くれて鴨のこゑほのかに白し」。小澤さんも「芭蕉の破調の句ではこの句が一番」とされている。破調という変則リズムもいいが、鳴き声を「白し」といったところに際立った表現の工夫がある。熱田の海に臨んでの句らしいが今は熱田から海は見えない。

 

 

 

 

         夏草や荒田を巡り走る水 

 

 

 

 ウクライナの戦争で世界中で食料不足が深刻だというニュース。自給率の低い日本でも他人事ではない話だ。歩いていると田植えの時期なのに田おこしもせず水も引かず荒れたままの田が目立つ。田水はとうとうと流れているのに・・・。米が余っているなら小麦をつくるというわけにはいかないのだろうか。凡人には解せぬこと。

珍しい八重のドクダミの花

 

 コンビニへ自動車税を払いに行く。お金だけ持って納税書を忘れる。最近この手のボケあり。いよいよですかねぇ。