もみぢ

『食べることと出すこと』 頭木 弘樹著

 以前「ほぼ日」で、糸井さんが「幸福というのはおいしく食べて、すっきり出して、ぐっすり眠れること」というようなことを書いておられたが、全くそのとおりだと思った。大病をして歳をとって睡眠障害やら胃腸の不調やら出てくると、その思いはいっそう増した。食べたいものが食べたいように食べられて、前後不覚にぐっすり眠れたのは、それだけで充分だったのだが、あまりにも当たり前過ぎてその幸せに気づかなかった。

 著者は思わぬ成り行きから「潰瘍性大腸炎」という難病を患う。「全大腸炎型」という大腸全体に炎症ができる最も重いタイプで、時と場所を選ばず出るものに悩まされ、長期の絶食と食事制限を強いられた。たかが出すことと食べることなどと思うなかれ。出すことは人の尊厳にかかわるし、食べられないことは人間関係にも関わってくる。自ずとひきこもりになり孤独に陥る。

 この前むかしの仲間から食事会に誘われたが断わった身には、ちょっとだけだがわかるなあという感じ。他にも共感したところはいっぱいあった。例えば「具合が悪いと、小さなことで悩む」とか、 「病気は気の持ちよう」といわれても、良くしたい一心で「あれがよかったか何がだめだったかとくどくどと悩む」とか、「身体は心を操る」って、全くそうだ。

 筆者は今は治療効果があって寛解期だということで、何よりよかったなあと思う。ひどい難病でも出口は見つかるものだということは、ほっとさせてくれることだ。

 

昨日は図書館に行って、その後市民公園の紅葉(黄葉)を見てきた。銀杏はもう半分ほど散り始めていて、今年の紅葉狩はこれで最後かもしれない。

 

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冬桜

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      幾たびももみぢを愛でて時惜しむ