とんぼ

一乗谷朝倉氏遺跡を訪ねる

 申し分ない陽気にうながされ、かねて見たいと思っていた日本のポンペイ一乗谷朝倉氏遺跡」を訪ねる。隣県まで車で2時間半の道程である。

 一乗谷朝倉氏遺跡は、室町期から戦国期まで五代百年にわたり朝倉家が居を構えた城下町跡である。それは信長によって灰じんに帰し、400年も地中に埋もれ、昭和になっての発掘で全貌が明らかになった。

 まず、遺跡入り口で先月オープンしたばかりの一乗谷朝倉氏遺跡博物館に出迎えられる。実に立派な施設である。朝倉氏の歴史から発掘された品物や川湊の遺構、復元御殿などが見られる。入場はWeb事前予約制で、前もって予約をして出かけた。新しいせいか平日にもかかわらず思ったより訪問者が多い。

 ここを見学後、少し車で奥まで入り、後は歩いて廻る。つわものどのの夢の跡は広々として秋の青空の下に美しい。無数の赤とんぼが乱舞している。

 

 

 

       発掘の井戸あちこちに群とんぼ

 

 

 

 

 町家や下々の者の区画は小さく、寺や上級武家の屋敷跡は広い。どこにも井戸があり、中には厠跡も。旧道路跡の立派な石積が、かつての城下町を彷彿とさせてくれる。両側を山に挟まれた谷あいで城下町といってもいかにも狭いが、防御には良かったにちがいない。谷筋に沿って川が流れている。足羽川といって朝倉氏の冨を生み出す交易に活躍したようだ。復元された町家もあったが、想像だけの方がいいような気がする。もっとも想いを馳せながら歩いている人は、町家を見学する人より少なかったが。

朝倉氏館跡

復元された町並み

 歩き廻ること2時間、7000歩、疲れた。秋の日があるうちに帰りつきたいと帰途についた。

 

 

       こぼたれしものに栄華や秋日差