茄子の苗

『室町戦国史紀行』 宮脇 俊三著

 史跡探訪紀行の三冊目である。この回は南北朝から関ヶ原の戦いまで、混乱の約260年。

 まず、後醍醐天皇の飽くなき権力欲にうんざりさせられる。楠正成も新田義貞も敢え無く死んでいった。その後はごちゃごちゃしてさっぱりわからない室町時代。確か去年呉座さんの『応仁の乱』を読んだはずだし、NHKの「英雄たちの選択」も見たはずだがすっかり忘れている。しかし酷い時代だったが日本人の暮らしの元はこの時代から始まったというから庶民の力はそれなりに芽生えてきたらしい。戦国時代になると群雄割拠で年代順史跡巡りが無理となり人物ごとの訪問である。北条早雲から始まって家康まで、殺し合いの歴史である。そうするしか仕方がなかったものの駆り出されて捨て石になっていく雑兵たちが哀れだ。そう言えば『雑兵たちの戦場』という本を読んだなと、自分の以前のブログを検索する。この時もだが、庶民にとっての平穏な江戸の三百年ということを思わずにはいられない。

 さて、宮脇さんだが古希を過ぎても春日山城までは四、五分で登れたとご機嫌だ。が、この巻の取材期間中に「ブラジル旅行で悪質の菌が左の脚に入り入院」され体力を落とされる。後半は杖に頼っての探訪もあり結局この巻までで断念され残念だった。あとがきの記述日を見ると最晩年の著述であったなあと感慨深い。

 まあ私もあまりあちこちに出かけられる体力もないのだが北条氏の「山中城跡」や朝倉氏の「朝倉館跡」ぐらいは行ければと思ったりする。

 

 今年の花が咲かんとしている甘夏から残っている実を叩き落としてマーマレイドにする。ややぱさついた実もあり出来映えは今一歩、いつもより苦い。

 夫は夏野菜の苗を入れた。茄子・胡瓜・トマト・ミニトマト・ピーマン・西瓜。庭の花も牡丹が過ぎ芍薬と薔薇へ。

 

 

 

 

         夜の間慈雨となりたり茄子の苗

 

 

 

 

室町戦国史紀行 (講談社文庫)

室町戦国史紀行 (講談社文庫)

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