秋の雨

『寂しい生活』 稲垣 えみ子著

 昨日図書館で、これという目当てもなく書棚を見回していたら、おやおや「稲垣さん」ではないかと、借りてきた本。例の有名な(?)究極の省エネ生活実施の顛末記である。

 東日本大震災原発事故をきっかけに、底なしにエネルギーを使い続ける暮らしに疑問を感じた彼女、まずは電気代の半減を目指す。半減などという生易しいことでは、なかなか目標は達成できずとまずは掃除機を捨て、次に電子レンジを捨てる。どちらの家電もほうきと雑巾、蒸し器などで代替可能。却って作業も半減したと満足で、それなりにわかるのだが、エアコン、冷蔵庫を捨てるに至っては、常人には付いていけぬ哲学となる。しかし彼女は突き進み、オール電化の住まいを手放し、ガスの契約も止め、洗濯は手洗い、風呂は銭湯の利用ということになる。そして遂には仕事すら辞めたというのだ。(仕事をやめた顛末はこの本にはない)

 さて感想であるが、無駄なエネルギー消費を控えねばならないというのは、全く同感だ。便利さを求めすぎて、欲望に振り回され、暮らしをより複雑にしてきたという考えも納得できる。しかし、まさに彼女のお姉さんの指摘ではないが、家電が女の負担を助けてくれたのも事実だと思う。その反論となる後半の理屈は、よく理解できなかった。

 トシヨリはことに、いくつかの家電の利用あってこそどうにか暮らしは維持できる。彼女の実験は、個人の提案としては面白いが普遍性を持つものだはないだろう。しかし、無駄なことは避けねばいけない。テレビでナイジェリアの飢餓、パキスタンの洪水、アフガニスタンの貧困を見る。同じ地球で生存すら脅かされている人々。

 

 

 

 

        花々のみなしおたれて秋の雨

 

 

 

 きのうより一挙に秋冷というより寒い。雨の一日の今日は特に。重ね着をして省エネ実践。

テリミノイヌホウズキ

 全株に毒性があるらしい。ことに熟す前の緑色の実は高い毒性だとある。