鵙猛る

『老後とピアノ』 稲垣 えみこ著

 新聞社を若年退職、究極の省エネライフを実践されている著者は、人並み以上の意志の人にちがいない。その人にしても、子供の頃嫌々ながらやらされたという経験はあるというものの、40年ぶりのピアノというのはなかなかハードな挑戦だったらしい。しかし彼女はやり遂げた。時には一日何時間も練習し、時には肉体の限界を痛感し、落ち込んだり喜んだり。そしてついには人前で演奏もし、何よりも老後に向けて音楽を楽しむ暮らしを見つけたのだ。

 ところで、私自身は全くピアノに縁はない。しかし、著者の苦闘ぶりに惹き込まれて最後まで面白く拝読した。彼女が挑戦したという巻末にある何曲かのピアノ曲も、ふむふむと拝聴した。

「遠くに目標は持たず、今目の前にあるミクロのことに全力をかける。・・・今を楽しむ。・・・今を遊ぶ。そこに思いもよらない美しいものが現れるのである。・・・老人は今に全てをかけるのだ。」

 全く同感の至りだが、還暦前の方に老人といわれてもねえという気はないでもない。

 

 

 

       鵙猛る日ごとに消えぬ地のほてり

 

 

 

 

イモネノホシアサガオ

チョウジタデ

散歩をしながらスマホをかざしては植物の名前を調べてみる。どんなものにも名前のついてる不思議。そういえば『ボタニカ』朝井まかて著を借りてきていたのだが、半分読了で期限切れとなってしまった。