『芥川賞を取らなかった名作たち』 佐伯 一麦著
相変わらず佐伯さんを読んでいる。これは小説ではない。仙台文学館での講座を元にした「芥川賞受賞を逃した名作」の読み直しである。
対象になったのは第一回から九十回まで、その中から十一作品。この内私の既読作品はただの一冊。小山清『をぢさんの話』だけである。
それぞれに、受賞を逃した訳のように選考委員の作品評が紹介されている。主題が明確であるのは当然ながら、表現(文体や構成)、作者の人間性、更に執筆の動機、読後感の印象など評価の視点は厳しいものだ。文章表現のリズムとか、筆者の視点とか、読んでいても案外と無頓着な読み方をしていた身には勉強になった。
後段の島田雅彦との対談で、(ちなみに島田は六回も候補になりながら受賞していない)島田氏は
「文学賞には福祉的な意味もある。何人か候補がいたときに、食うに困っている人にあげようという部分は多少あります。」などとも言っておられる。
取り上げられた未読の作品で読みたいと思ったのは、干刈あがた『ウホッホ探検隊』。彼女の作品は、昔新聞連載を読んだけ。早世であったという記憶がある。Tの本棚のどこかにありそうだから聞いてみよう。
稲の香やむかしの道のなつかしき
稲田の水が抜かれました。いよいよ収穫間近かな。
水引
風になびく芒
秋ですね。緊急事態宣言が解除されたのででかけたい。今月中に足を踏み入れない二階の片付けもしたい。いろいろ予定を頭の中で巡らしていて、そのまま昼寝を一時間以上もしてしまった駄目な私。