日永

街道をゆく  愛蘭土紀行 Ⅰ』  司馬 遼太郎著

 司馬さんが亡くなってもう何年になるだろう。Tの話では最近はすっかり軽んじていられるらしい。私は司馬さんのこのシリーズが好きで、ほとんど読み尽くした。ちょっと自慢めいたことになるが、ずっと以前このシリーズの一冊で読書感想文を書いて県のコンクールで優秀賞をいただいたこともある。

 今回の入院で読みやすいものとして再読でもと思ったのだが、この『愛蘭土紀行』は読んでないことに気づいた。ベットでそう気安く読めたわけでもなかったが少しずつよんだ感想を記したい。

 アイルランドといえば去年のラクビーでの激戦、後は妖精の息づく国とか、アラン島のセーターとか、じゃがいも飢饉とかたいした知識はなかったのだが。

 もっとも司馬さんのアイルランド訪問は1987年、今のアイルランドとは事情が違う。国が貧しく国家経済は破綻寸前、若い人々はこぞってアメリカへの移住を目指す時代だったらしい。アイルランドの名誉のために記せば、その後1990年代に入って奇跡的な経済発展を遂げ今はユーロ圏でも優等生とのこと。

 さてこの本ではどこまでも貧しくイギリスに虐げられるアイルランドである。国教とか新教のイギリスに対してカトリックを護り続けたこの国は長い長いイギリスの圧政に苦しむのである。なんと共和国になったのは第二次世界大戦後とは知らなかった。

 「アイルランドの歴史は・・・ブリテン島によって、七、八百年のものあいだ支配され、搾取されつづけたということでできあがっている。・・・ともかく搾取は酸鼻をきわめた。」

 「清教徒革命」とか「クロムウェル」とか教科書で丸暗記した口だが、その「クロムウェル」がひどかった。彼がアイルランドに押しわたりカトリックというだけで大虐殺をやったのだ。アイルランドはこれ以後全くのイギリスの植民地になった。丸暗記をして点数だけ取っていた身としては恥ねばならない。

話が長くなったので座れない身としてはまずはここまで。

 

日曜日でY一家が来てくれた。図らずも今日は彼女の誕生日、半世紀弱前この前まで入院していた病院の古い木造病舎で誕生した。桜の満開の中を帰った思い出がある。

 そのYが手づくりのマスクをプレセントしてくれた。残り布のガーゼで作ったらしいが立体的である。

f:id:octpus11:20200322170008j:plain 

 

 

 

 

        寝ては起き起きては臥せる日永かな