小春

南方熊楠』  唐澤 大輔著

 熊楠さんのことは「知の巨人」とか一種の「変人」とか断片的なことは知ってはいたが、その生涯についてまとまって読んだのは初めてである。

 著者はかの人を「極端人」と形容しているが、まさにそのとおりである。実に魅力的な人だが身近な人としては困った人にちがいない。

「熊楠は世人になれなかった。普通であることができなかった。周りが見えなくなるほど対象へ内在化する一方、普通では考えられないほど対象から(あるいは世間から)逸脱した行為をすることがあった。」という。それゆえ英国滞在時には52冊にもなるノートへの書き写しをし、ネイチャーに324もの寄稿をし、熊野では厖大な数の粘菌や藻の採集をした。

 粘菌という植物のような動物のような(熊楠は原始動物だとしている)不思議な生き物のことは、この本で初めて知ってとても興味をおぼえた。関心のある人は「ほぼ日」のサイトに美しい写真が掲載されているのでご覧になるといいと思う。

 この時期だから湿度を好む「原形体」は無理だろうが何か見つからないだろうかと、郷社の倒木を観察しにでかけた。胞子を飛ばした「子実体」のようなものを見つけたけれど、どうだろうか。

 夢中で歩いていて歩きすぎて疲れて帰り、家族にあきれられた。私もちょっと「変人」である。

 

 

 

 

         畦道の陽だまりにある小春かな

 

 

 

 

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これは何の実でしょう。漆の実?

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ひょっとして胞子を飛ばした穴?

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これは何でしょう?

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陰って寒くなってきた。