夕立

サザエさん長谷川町子』 工藤 美代子著

 図書館の新刊コーナーでこの本を手にしたのは『人間晩年図鑑』が頭にあったせいだ。町子さんが取り上げられていて、サザエさんのほのぼのイメージとは真逆な晩年だったなあと思ったからだが、それでの野次馬的興味がなかったかといえば嘘になる。

 サザエさんといえば庶民派の代表のような家庭に思えるのだが、どうしてどうして桁ちがいな億万長者であったというのが驚きのまず第一である。その莫大な財産がゴットマザーというべき母親(父親は早世された)を頂点とする姉妹三人の個人出版社から生み出されたというのが第二の驚き。(この辺りの話はテレビドラマにもなったらしい)第三の驚きはその家族的結束が晩年に至って崩壊してしまい、今や莫大な遺産は赤の他人が管理するに至ったという事実である。この他にも別荘や自宅の火事、訴訟事件、町子さんの癌、町子さんの遺骨の盗難と脅迫などいろいろあったようで有名税とはいえ多難であったようだ。サザエさんがの平穏な家庭的雰囲気が強いだけに意外と言えば意外な人生であった。

 朝日新聞サザエさんの漫画が掲載されていたのは昭和24年の暮れからだというから、子どもの頃からずっと親しんできたわけだ。時々長期休載があってがっかりした思い出もある。そのサザエさんの裏にこんなドラマがあったとは、人の一生はわからないものだ。

 

 昨日一昨日と午後は激しい雷雨。隣県もうちの県も急激にコロナの感染者が増加。知事は第2波だと表明。ちょっと自由が出てきたのにまた逆戻りだろうか。

 

 

 

 

        ぽつりひや後は一気に夕立かな

 

 

 

 

サザエさんと長谷川町子 (幻冬舎新書)

サザエさんと長谷川町子 (幻冬舎新書)