春隣

 久しぶりに「暮しの手帖」を買った。ペラペラと立ち読みをしたら「行司千絵さんの洋服世界」というグラビアがあって、それで買うことにした。行司さんは新聞記者の本業の傍ら独学で洋服づくりを始めた人で、その作品が実に楽しい。一昨年図書館で「おうちのふく」という行司さんの本を借りた。それによると彼女の服は着心地がいい(仕立ててもらった人達の言葉)、着る人に似合っている(行司さんの言葉)のだそうだが、なによりも常識にとらわれない「遊び心」がいっぱい。例えば男性用のコートでは太い爪のついた熊の毛皮がポッケットにあしらわれていたり、女性用はリバティープリントのパッチワークで作ったりと、なかなか真似の出来ない大胆さ。またモデルのお母様がいい。同年輩と思うのだがパステルカラーの服を着てまるで少女のような可愛らしさ。洋服もこんなふうに楽しんで作って楽しんで装えばいいかと目を開かされる。
「おうちのふく」と重なる作品もあるが今回の「暮しの手帖」にもいくか紹介されている。寂聴さんの黄色のサロペットにはビックリです。





     水鳥のみな番(つがひ)らし春隣




おうちのふく―世界で1着の服

おうちのふく―世界で1着の服

暮しの手帖 4世紀86号

暮しの手帖 4世紀86号