冬帽子

「あの頃」 武田百合子

 信じられないことだが新刊なのである。没後25年、花さんもお歳を召されてきて、自分の元気なうちにと未収録のものをまとめられたらしい。同一人物だから当たり前だが「富士日記」の百合子さんを彷彿とさせる。帯に「たぐいまれなる文章家」とあるが、確かに読ませる文章だと思う。500ページもある厚い本で(行儀悪く寝っ転がって読んでいると重くて手が痛くなる)読み終えるにはどのくらいかかるだろうと思ったが半分ほどは読んだ。半分は題名どおり「あの頃」の話で、泰淳さん亡き後の思い出が多い。悲しいとか寂しいとか書かない人なので(美しいというのを美しいと書かないと書いておられる)思い出を詳しく詳しく書かれるとこちらにも寂しさや悲しさが伝わってくる。いい話がいくつもあった。

 後半はテレビや映画の話なので、どんなものだろうか。読み通せるか、ちょっとわからない。

 

 今日の朝刊で源一郎さんの新書の宣伝を見つけ、珍しく購入した。もう明日に届くらしい。年賀状が気になっている。なかなかその気にならなくてまだ手が付けられない。新春準備もなんにも。ただお年玉だけは下ろしてきた。

 

 

 

 

     街角の地蔵菩薩の冬帽子