『猫だまし』 ハルノ 宵子著

 おや、こんな本がと図書館の書棚で見つけてきた本である。ハルノ宵子さん、言わずとしれた吉本さんの娘さん、ばななさんのお姉さんである。漫画家でいらっしゃるという他、予備知識なし。猫の挿絵も面白いが、お話も実に面白い一冊だった。

 現在還暦ちょっと過ぎだと拝察するが、まれにみる豪胆な方だ。それも若い頃からずっとだったようで、武勇伝とも言ってよいような体験の数々を、他人事だから面白く拝読。このハツノさんにしてもワガママいっぱい(?)のご両親の介護、数多な地域猫やら家猫の世話と大ストレスで、乳癌、大腿骨骨折、大腸癌、肝機能の悪化とつぎつぎに病を発症。追い詰められながらも平然と冷静にかつ信じられないくらいいい加減に対処された闘病記である。(だいたい巨大な癌を告知された帰りに生ビール2杯も飲んで帰ります?)

 さすが吉本さんの遺伝子か、医者選びにも医療にも病にも一家言あり。それにしても病院食の味気ないのはどこも一緒であるが、東京の個室利用料があまりにも高いのには驚いた。集団が苦手なこちらもできるだけ個室をお願いしたが、差額料金は三分の一ほど。東京では高いホテル並の料金らしい。(個室料は健康保険は効かない。こちとらはカンポに入っていたので助かった)ハルノさん、現在は「すこぶる健康」とあるから、ご同慶の至り。

 

 さて、当方もこのところは調子がいい。もちろんハルノさん同様、手術跡はつれて痛いし、腰も痛い。それでも9月の不眠スパイラルも収まり血液検査の数値も改善した。折から「全国旅行支援」だというので、ありがたく利用させていただくことにした。

 もっとも奮闘努力空しくJR付きは取れなかったが、宿泊支援だけはゲット。前々から目論んでいた吉備路を目指す。障害者の身ゆえ前もって多目的トイレの場所を確認して、日程表を作るという用心ぶり。最近は「多目的トイレマップ 全国版」などがあるので助かる。昔と比べれば福祉対策はかなりよくなってきているようだ。そういうわけで来週は二日ほど旅の空、感染対策をしっかりして行ってきます。

 

 

 

       露の世や詩ごころ合いし旅の人

 

 

 

フジバカマ