『硝子戸のうちそと』 半藤 末利子著
何かで薦められていたのでたくさんの予約の果に借りてきた。茶飲み話、世間話のようなものだが、漱石のお孫さん、半藤一利夫人の世間話である。随分ぶっちゃけた物言いの人だなあというのが一番の感想だ。
最後の方に半藤さんの最期の話がある。半藤さんと言えば、『昭和史 戦後編』がとても面白かった記憶がある。自分の来し方にひきつけて読めたからだ。つまり戦後史の節目節目にワタクシの人生の節目節目が重なって、とても興味深かった。
その半藤さんが転倒の果に大腿骨骨折、手術でうまく治らずに再手術、リハビリ、他の病気の併発と、だんだん弱って、亡くなるまでが書かれている。それが実に恬淡とした書きっぷりで驚いた。長年連れ添ったご夫婦だからこういうものかもしれないと、そんなことも考えた。
昼前にリュックを背負って買い物にでかける。ほんの近くである。「おや。散歩?暑くなりそうだから気をつけて。飲み物もってる?」ご近所さんの奥さんが声をかけてくださる。お店の人も「歩いてですか?お気をつけてね。」とやさしい。親切はありがたいが、よほどおぼつかないトシヨリに見えるかと、連れ合いに嘆いたら、「おう、バアサンに見える見える」と嬉しそうに念を押すではないか、がっくりと疲れた。
朝(あした)より花火あがりて春祭