『日航123便墜落 圧力隔壁説をくつがえす』 青山 透子著
日航123便についての青山さんの本はこれで三冊目である。最初は目撃証言からの不信提示、次に遺体や遺物からの不信提示、そして今回さらにきっちりした新事実でもっての真相への肉薄である。
その一つは外務省の公文書からあきらかになったことだが、墜落直後(二日後)に外務省では墜落が事故ではなく事件として扱われていたという事実である。これは当時のレーガン大統領から中曽根首相に宛てた見舞いの書簡への添え書きで、写しが掲載されているが外務省職員の手で「日航機墜落事件に関するレーガン大統領発中曽根総理あて見舞の書簡」とある。世間一般が事故だと思い右往左往している時に、すでに事件ということははっきりしていたのである。
もう一つは『事故調査報告書別冊』に書かれた「異常外力着力点」という記述だ。「異常な外力が垂直尾翼中央部に着力したことにより、垂直尾翼が崩壊するに至ったと記されている。」にもかかわらず、ご丁寧にも圧力隔壁の破壊が垂直尾翼を崩壊させたという説を補強するために実験までされ、その結果も矛盾だらけである。
もはや垂直尾翼中央部に何かが当たりそれで尾翼やその周辺部分が崩壊し機体は制御できなくなったという真実は覆そうもない。当たったものは何か。そこで青山さんは最初の多くの目撃証言に戻る。すなわち機体に並走して飛んでいたというオレンジ色の物体。あるいは二機の自衛隊機。前日新聞記事にあった国産ミサイルの実験を開始するという記事。口絵にはオレンジ色をした軍装備品が掲載されている。
青山さんならずとも私たちは真実を知りたいと思う。もし重大な過失により多くの命が失われたのであったら、真実を明らかにして詫びるのがせめてもの償いではないか。大事なことをうやむやにごまかしてしまうというこの国の体質、これが一番恐ろしい。
アメリカはこの件で日本政府に大きな貸しを作った。それがその後の日米関係にどういう影響を与えたのかも私たちは見つめていかなければと思う。
- 作者:青山透子
- 発売日: 2020/07/21
- メディア: 単行本
山茶花が終わったからとH殿が張り切って剪定と枝透かしをしていたら、モズの巣がでてきた。悪いことをしたなあと言ってすぐ止めたのだが、どうなるかしらん。雛のような声もするが。気の揉めることだ。
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