『日航123便墜落 遺物は真相を語る』 青山 透子著
この方の「日航123便」に関する著書は先にも読んで、かなりの衝撃を受けた記憶がある。新刊広告でさらなる書籍が出されたことを知り、図書館で調べたが入ってなかった。代わりにその前の一冊が検索に掛かってきたので読むことにしたのが、この本である。
先の本が主に事故当日の目撃情報を主軸に書かれたのに対して、今回は表題にもあるように「遺物」をもとに疑問を呈しておられる。遺物とは炭化するほど焼け焦がれたご遺体と高熱で金属の固まりと化した機体の一部である。
過去の航空機事故を例にしながら航空機燃料では炭化するほど人が燃えるということはなく、人為的に何かの隠蔽のため二度焼きがされたのではないかというのが彼女の意見である。「タールとガソリンの匂いがたちこめていた」という村人の証言もある。
溶け切った金属の固まりを大学の研究室で成分分析をしてもらった結果もある。機体を構成するジュラルミンに含まれるアルミニウム以外の硫黄やベンゼンが含まれていた。「ジェット燃料に含まれていない大量のベンゼンがなぜジュラルミンに付着しているのか。そして、そのベンゼン環はガソリンに含まれているのである」と。
その他未だもってボイスレコーダーが遺族にすら公開されないことや法医学者の方が任意提出されたビデオテープが返還請求にもかかわらず返還されないなど不審なことはいくつもあるようだ。
この国の権力の都合の悪いことは隠してしまおうという体質はここでもみられるのであろうか。読んでいるとだんだん背筋が寒くなっていく。かっての同僚の無念さを思い520名の命の重さを考え追窮の矛先をそらさない青山さんには頭がさがる。なんとしても真実が明らかになることを望みたい。
- 作者:青山透子
- 発売日: 2018/07/21
- メディア: 単行本
天高し鳶は弧をかき笛を吹く