初場所

レンブラントの帽子』 バーナード・マラマッド著 

 雨模様の日が二日も続いて、本でも読むしか仕方がなかった。正座とかソァアに座るとかが楽に出来ないので、勢い転がって読むばかりで、目も疲れた。

 装幀がよくてTの本棚から引き抜いてきただけで期待はしてなかったが、なかなか面白かった。短篇集だがどれも人の内面を丁寧に追ったものだ。その心理描写が卓越している。誰でも心の中が真っ白ということはほとんどなくて、いつもどうでもいいことを思い浮かべている。相手がいれば、相手の気持ちを憶測してああでもないこうでもないと、不安になったり怒ったり。いなくても思い出してあれこれと、ともかく一瞬たりとも澄みきることはない。「瞑想」を心がけても凡人のわたしなんぞは常に邪念が邪魔をする。そして、その邪念は勝手に膨らむものだけに厄介だ。邪念に振り回される人の常を描いたといったらよいだろうか。帯に「マラマッド」の最高傑作とあるが納得できるだけの面白さはあった。

 初場所が終わる。朝の山が早々と優勝争いから落ちたので、あまり熱心に見ていない。大栄翔の優勝で、ひとりも優勝力士のでてない県が減ったと言っていた。うちの県は関取すらいないなあ。むかしむかし「恵那桜」という関取がいたくらいだ。

 

 

 

 

        初場所十両すらもゐぬ故郷

 

 

 

 

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今日は暖か。玄関の紅梅が咲き始めた。

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陽だまりでのんびり。歩いていると汗ばむほど。