おぼろ

『中途半端もありがたい  玄侑宗久対談集』

 対談集というのはやや苦手である。対談する二人の会話のテンポや水準についていけず、読んだという充足感がもてないことが多い。今回もそれは同様で、わからないところはわからないままに読んだというところである。

 玄侑さんと十人の方の対談集である。対談途中に震災があったようで半分は震災前の、半分は震災後のものである。当然ながら話題もがらりと変わる。

 震災後の対談相手は山田太一さん、中沢さん、佐藤優さん、日野原さん、山折哲雄さんで「これからどうあるべきか」という話になる。

 豊かさの水準がすぎている。 足るを知る暮らし。

 巨大システムに頼らない。 自然と戦わず共生する。 

 自然エネルギーをメガで考える危うさ。

 差別される沖縄と福島。 信用できない政府。 分割された自治。 小さな自主組織。

 無常を知り適応して生きる。 頑張りすぎず、ぐずぐずと生きる。

 あれから七年。あれほどの災害を越えて日本は何か変わったであろうか。もちろん私自身への問いかけでもある。

 

 

 

 

     追憶のくり返されておぼろかな

 

 

 

 

中途半端もありがたい:玄侑宗久対談集

中途半端もありがたい:玄侑宗久対談集