「死んだらどうなるの?」 玄宥 宗久著
 ストレートな題名に惹かれて読みだしたのだが、わが頭脳には手に余る内容。読了してはっきりしたことは、著者の言葉どおり「『あの世』も『魂』も物象化のクセが抜けない頭では把握出来ない」ということ。ただ最先端の物理学を引き合いに出しての説明で(自慢ではないが、昔物理は赤点をとったことありチンプンカンプン)おぼろげながら死によって解けた我々が帰っていくところはわかったような気がする。そして、その世界が仏教的認識と先端物理学の到達点と矛盾しないというのは実に不思議な気がした。著者は「瞑想によって体験する以上のことは、死によっても体験することはない」というお釈迦さまの言葉を紹介して、瞑想で『あの世』を垣間見ることや『魂』に出会うことも出来ると、瞑想という脳の使い方を勧めている。また、僧侶としての体験から「死によっても途切れない」「根源的な意識の連続体」を信じるとも書いている。これは科学的に説明されたものではないと断りつつ、これを信じることは死が全く無であると思うより幸せではないかと説くのである。
 プリマー新書、侮るなかれ。玄宥さんの熱い思いもひしひしと感じた中身の濃い一冊であった。




     ジャグジーに腰を打たせて農婦冬



死んだらどうなるの? (ちくまプリマー新書)

死んだらどうなるの? (ちくまプリマー新書)



今朝は珍しく一面の霧