雨蛙

 二日も雨空が続くと、少しうんざり。
 雨蛙は雨の日には鳴かないが、雨催いの時には大声で鳴く。なんでも川沿いの親の墓が出水で流されるのを嘆いて鳴くのだそうだ。カッカッカッとあの小さな身体に似合わぬ大声を出して鳴くので、わかっていても驚く。時には庭の二・三箇所から聞こえて、思わぬ歌比べ。鳴くのはオスだけらしい。斉藤茂吉の歌に
  かいかいと五月青野に鳴きいづる昼蛙こそあわれなりしか
というのがあるが、鳴き声を「かいかい」とは言い得て妙。なんとなく寂しさが漂うではないか。
 H殿の72回目の誕生日。大きな病気もせず、この年まで働いてくれたのに感謝。お赤飯を炊く。


     独りには広き食卓雨蛙