芍薬

 「夭折俳人列伝」読了。取り上げられた俳人十八名。女性は総じて結核が多く、戦後初期、男性は事故もあるが癌による絶命で昭和も後半になってからが多い。若々しい掲載写真を見ても、二十代から三十代までのまさに夭折。俳句歴も俳句も生き急ぐように張り詰めたものばかりで息を詰めるようにして読んだ。筆者が「夭折者の俳句に共通するものは稀有な境遇にある者のみが垣間見た掛けがえのない心象」と書いているが、どの句も痛ましさを感じるほどの魂の叫びである。十七文字の短詩でもそこまで表現可能なのだと、ロートルの俳句好きの一人として目を見張る思いだった。


     芍薬の蕊の湧き立つ日南かな   炭 太祇