父の日

 父の日というので毎年のごとくYよりハムやらソーセイジのおつまみセットが届く。送ったというメールの返事に、じゃがいもやら玉ねぎが大豊作なので取りにくるように連絡。結局、本人たちも現れた次第。来るたびに背丈の伸びていく孫は、ついに二人とも母親を抜いたようだ。以前のように来たらすぐにおもちゃを出してくるでもなし何となく手持ち無沙汰なのだが、それでも来てくれるのは嬉しい。TとYと三人でH殿が元気なのを喜び合う。「入院中はぽつねんと元気なかったんだから」と二人の話。話半分でもまんざらでない。

 

 

 

 

     父の日の父へのメール母へ打つ

 

 

 

 

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青柿

 こんなことではいけないと思うのだが簡単な家事をこなす以外、終日ソファに転がっている。傍らには何冊かの読みかけもあるのだが気が乗らない。それでも今日は米朝さんの落語をひとつだけ聞いた。

 窓の外の柿の木で雀たちが実に元気。無邪気な様子から多分今年孵った若鳥たちかもしれない。カーテンごしにこちらが見ているとは思いもよらないことだろう。

 

 

 

 

     青柿やまろびもつれて雀どち

 

 

 

 

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梅雨晴間

『静かな雨』  宮下 奈都著

 話題の著者の作品である。ベストセラー本はなかなか回ってこないからまずは先行作品をと借りたもの。一人称語りの静かな作品。状況は決して明るくないのに絶望の中から立ち上がってくる救いがいい。筆者の別の作品も読んでみたいと思わせる。

 

 二週間ぶりの病院。副作用の痛みは軽減したが、食欲がわかない旨を伝える。多分それも副作用だが念の為検査をということで半日費やす。幸いにも他に問題はなく、病巣もわかる範囲ではなくなったといわれる。もう少し安定してさらに詳しい検査となる予定だが今のところはまずまず。それにしても何を食べても今一美味しくないのは残念。検査結果が良かっただけでも感謝しなければ。

 

 

 

 

     さつさつと子規の風吹く梅雨晴間

 

 

 

 

静かな雨

静かな雨

時の日

『海に沿うて歩く』    森 まゆみ著

 森さんの旅日記である。島・半島・町並み・物語の地に分けて三十一ヶ所。森さんらしい洞察と感想、土地の人々との交流とけっこう楽しく読んだ。出てくる土地の人々は多くは高齢であるから、これらの話も早晩消えていくこの国の姿かもしれない。それにしても彼女は随分の酒豪だ。繋がりの拡がりに連れてグイグイとお酒の進むのもまた、羨ましい。旅の途中の話で、やはり旅の人であった宮本常一のことが二回ほど出てきたが、彼の人は実に話の聞き上手であったらしい。いつもメモひとつとらなかったということで、森さんもそれには驚いていた。いつも駆け足で上っ面だけ見てくるようなわれわれの旅には真似するべくもないが羨ましいことだ。

 

 どんよりと雨模様の午後で録っておいたビデオを観る。「深夜食堂」。この前何の気なくちょい見をした大阪西成の24時間食堂に通じるものあり。悪い気がしない後味だった。人間、どんな時でも美味しいものを美味しく食べられればそれがまず一番の幸せということですね。

 

 

 

 

     時の日や終末時計の針如何に

 

 

 

 

 去年の米朝緊張の頃を思えば、多少は先行きは明るくなるのでしょうか。

 

海に沿うて歩く

海に沿うて歩く

 

映画 深夜食堂 [DVD]

映画 深夜食堂 [DVD]

明易し

日航123便 墜落の新事実』    青山 透子著

 蒸し暑い日のジャンボジェット不明のニュースの瞬間は、今もはっきり覚えている。そしてあれほどの惨事にかかわらず、あれは「圧力隔壁の損傷」だったと、今まではなんの疑いをも持たなかった。

 筆者は元日航の客室乗務員である。同僚たちの無念さを思い執拗な事実関係を追い求めた結果の執筆である。当日迷走するジャンボを地上から見た多くの人々、ことに墜落現場に近い小中学校の子供たちの証言等などを整理することで導き出された推論。それは自衛隊の練習用ミサイルによる誤射という衝撃的内容。それらを隠蔽するためにわざわざ遅らされた救助。炭化するまで燃え尽くされた遺体。いまでも拒まれている情報公開。

 「権力は隠蔽する。嘘を付く」最近も毎日いやというほど聞かされていることがやっぱりあったのではないか。もしこれが事実なら「圧力隔壁の損傷」だけで片付けては520名の魂は救われまい。

 

 

 

 

     明易しはや初なりの野菜苗

 

 

 

 

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日航123便墜落の新事実  目撃証言から真相に迫る

日航123便墜落の新事実 目撃証言から真相に迫る

maga9.jp

梅雨入

『来ちゃった』      酒井 順子文・ほし よりこ画

 最近、とみに根気が続かない。あまり面白くないとなるとちっとも読めない。(ごめんなさい)著者の訪ねた三十七ヶ所の旅報告である。なかにはチベットアイルランドと海外の旅報告もあり。当方がすでに出かけたところも有り、また行きたいところも有りなのだが、あまり進まない。考えるに報告が通りいっぺんなのである。美味しいもの、見どころ、ちょっとした体験と感想。Tに言わせれば、「ブログ的」な域なのである。そんなこんなでつまみ食い的いい加減読み。でも、いくつか行ってみたいところは見つけた。池内さん流にノートに拾っておかなくては。

 

 朝からしとしとと雨である。いよいよ「梅雨入り」かしらん。本格的な梅雨になる前にと乾物の豆を片付けることに。先日ふきのとうさんに教えていただいた「花豆の甘煮」を思い立つ。今日は終日これに専念するつもり。うまく出来るといいのですが。

 

 

 

 

     ひねもすをかけて豆煮る梅雨入かな

 

 

 

 

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 こんな紅い紫陽花も咲きました。一作年、仕事場の近くの新聞販売店さんが花が終わって捨てるというのを貰ったものです。ちゃんと期待に応えて蘇ってくれました。

 

 

「来ちゃった」

「来ちゃった」

 

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 「花豆の甘煮」美味しく出来ました。ふきのとうさん、ありがとうございます。お茶請けにぴったりですね。

草の笛

 昨日友達のIさんから電話があって「蓬髪」と「よもぎ」に例えたのはどうしてかしらんと訊ねられた。近頃は外来植物に負けてすっかり元気のない蓬がぼうぼうと茂る様など想像できないからである。そんなことはあまり考えたこともなかった当方は「ほら、平安時代なんか落ちぶれた貴人の屋敷なんかを、八重葎茂るとかなんかいったでしょ、蓬なんかが茂っていることじゃない。」といい加減なことを言ったのだ。が、後で気になってちょっとだけ調べてみたら「八重葎」は「繁茂している蔓草」のこと、「蓬」は「さしも草」とある。『枕草子』では「草は・・・さしも草八重葎。・・」とあり同じ繁茂する草の仲間だったらしい。と、まあこんなとことからきてるのかなあとちょっと訂正しつつ推測する。

 

 先に何か手仕事がしたいと小さな刺繍セットを買ったのだが、これがあまりに細かい。老眼を凝らしてやっとなので途中で放棄。もっと元気がでたら続けることにして、またまた懲りずに今度は編み物用夏糸を買ったのだがこれはどうなのだろうか。思ったより色がくすんで(マリンブルーとあったのだが)思ったより細い糸でちょっと残念。昨日のテレビでべネシアさんが「絵を描いているのは瞑想みたい」と言っていたが、無心になれる時間が取れるといいのだが。

 

 

 

 

     土橋に腰かけて吹く草の笛

 

 

 

 

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