冬籠

「日本はなぜ、『基地』と『原発』を止められないのか」 矢部 宏治著
 新年から重たい本を選んでしまった。新聞の書評欄で見てたまたま検索したら図書館にあった。今まで無知であったのだが、この本を読んでいると日本人としての誇りがガラガラと崩れていく。沖縄に多くの基地を抱えさせ、首都圏の上空すら米軍に支配されていて日本は本当に独立国なのか。その上、多額の思いやり費を負担しているのにトランプ氏はさらに払えと言う。これが彼だけの意見でないことは14日の朝日新聞「米軍基地のこれから」で、米マサチューセッツ工科大学教授が日本は米国の安全保障に「『ただ乗り』ならぬ『安乗り』」をしてきたと言っている。こうまで言われて、なぜアメリカの顔色を伺わねばならぬのか。この紙面上で中京大学の佐道教授は「憲法9条の制約が大きい」と言う。日本は「憲法問題にならない範囲で国を守るためのウルトラCとして、『基地と防衛の交換』という方法を発明」したというのだ。この本でも基地は日本の支配者層が自ら米軍駐留を希望した結果だとしている。
 憲法も守り独自性も守り平和も守り、古いスローガンだが「非武装中立」というのは絵空事であろか。この本の著者が出した答えをオバアは肯定も否定もできない。しかし若い人にはこの本を読んでもらいたい。そしてこの国の行く末を真摯に考えてもらいたい。




     冬籠使わぬ部屋と使ふ部屋