甚平

フランクル『夜と霧』への旅 河原理子著
 実はフランクルのこの有名な本をまだ読んでない。ずっとナチスの暴虐を告発する本だと思い,気が重くて読む気になれなかった。昔、アウシュビッツなどの写真集を高校の図書館で見たことがあった。その時の衝撃的な画像がずっと心にある。だから、看護学校で読まされたらしいその本が、Yの本棚にあったのは知っていたが読まなかった。今回河原さんの本を読んで大きな思い違いであることを知った。それは告発とは次元の違うもっと崇高な意味「どんな逆境にあっても人生は生きるに値する」というメッセージを込めた「希望の書」(松沢哲郎)だったのだ。筆者は私のような誤解がなぜ生まれたかというようなことに触れ、それでも「夜と霧」が生き難い思いの人々にどう受け入れられてきたかをを紹介している。そして今の日本のように経済的な充足感はあっても生きる意味が希薄になっている時こそフランクルの言葉はとても大切だと言うのだ。引用されているいくつかのフランクルの言葉に付箋をつけながら読んだが、次は「夜と霧」そのものにあたることだと思う。それにしてもYの本棚にあったはずの本がない。どこに紛れ込んでしまったか。


     甚平やかじり放題父の脛



フランクル『夜と霧』への旅

フランクル『夜と霧』への旅