蝸牛忌

 蝸牛忌即ち幸田露伴の忌日である。露伴の作品はあまり読んでないが娘の文さんの作品によってその人となりは親しい。以前読んだ文さんの「父その死」にはとても心が動かされた覚えがある。
 さて、今日は父の忌日でもある。露伴のような剛胆な人ではなかったが明治人らしい実直で背筋の伸びた人であった。九十一歳で逝ってすでに三十年、昨日は久しぶりに墓参りをして偲んだ。
 なかなか夏らしい青空が見られない。こういうのも寂しいものだ。


     蝸牛忌や読むは安政太平記


百日草