『まくら』 柳家 小三治

 小三治さんという落語家の偉大さをよく知らなかったのはつくづく残念。追悼番組で「初天神」を聞いて、全く魅了された。これも後、知ったのだが。「初天神」の「金坊」はお得意中のお得意だったらしい。「まくら」も名人芸だというので、せめてその一部でも偲ぼうとこの本を借りてきた。

 さて、この本だが語り口がそのまま活字になっていて、実に面白い。全部で十七ほどの小話が収録されているのだが、一押しは「駐車場物語」。師匠のバイク(オートバイ乗りが趣味)用に借りてある駐車場にホームレスの方が住み着いてしまうという話。四台のオートバイの間にダンボールやら布団やらを敷き詰めて、だんだん生活用具も入れ込んで居座っちゃう。「お世話になっておりまーす」て挨拶され、気のいい師匠は追い出そうにも追い出せなく、オートバイにも乗れない。いっそう俳句でも作らせて(師匠は俳句をやるんですね)売り出そうかなんて考えたり。

結末がどうなったかは興味のある方はご自分で読んでくださいませ。

他に「バリ句会」というのも、声をあげて笑ってしまった。この関係書で東京やなぎ句会関連の本も借りてきたので、これは次回に。

 今朝からとうとう雪になった。ニュースでは岐阜市で5センチというから、我が家もその程度かと思う。終日暖房に閉じこもり、朝のうちは今冬初めてのマーマレードを煮詰めた。実が若いので少し苦味があるが、まあまあである。

 

 

 

       郵便のバイクは来たり雪しんしん

 

 

 

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