草笛

 そら豆と信長の美濃攻め
 「晴れときどきファーム」を見ていて、またそら豆を作りたいという話になった。実は二十年近くも昔、作ったことがあった。その時、姉からこんな言い伝えを聞かされたのだ。
 「永禄の昔、信長公が美濃を攻めた時、そら豆畑のせいで随分難儀をしたので、このあたりではそら豆を作ることは一切ならん」
というのだよ、と。そういえばこのあたり一帯、そら豆が作ってある畑を見たことがない。ということで我が家も作らなくなってしまった。今回またその言い伝えを思い出していろいろ調べてみた。
 1563年(永禄6年)4月(新暦なら今頃か)信長は美濃攻めをしている。信長軍5700龍興軍3500、数の上では圧倒的なのに竹中半兵衛の伏兵策に翻弄されて敗北をしている。場所はこのあたり、「新加納」。伏兵が潜むには丈の高いそら豆は格好の隠れ場所になったかもしれないと、ちょっとワクワクする推理。
 信長に庇護された神社あたりがこういう言い伝えを広めたのかも知れぬが、いまさら信長公でもないだろうと、来年はそら豆を作るつもり。とりあえず今夜は買ってきた豆でかき揚げをしたいと思う。


     草笛を魔法のごとく鳴らしけり


ゴテチャ