夏の雲

 昨日、美容院で「11日(山の日・祝日)で休みます」の張り紙をみつけて、自分のうかつさに初めて気づく。「山の日なんて、いつからできたの」とスッタフに聞くと「去年からですよ。お盆に長期休みを取らせようという政府の魂胆でしょ。12日は御巣鷹の日だから、さすがに一日とばしたらしいですよ。」と教えてくださる。去年から毎日が日曜日になった身は、全く失念していた。

 さて、「鎮魂の月」の八月には、毎年「戦記物」を読むように心がけているので、今年は井伏鱒二の「黒い雨」の再読とした。これは昭和41年度の「野間文芸賞」の受賞作品だから、おそらく初読は大学時代だと思うのだが、読んだという以外の記憶がない。楽しい話ではないので遅々として進まない。井伏さん自身は被爆体験がなかったと思うので取材だけで書かれたと思うと、今さらながら筆力を感じる。

 はっきりした夏空を見ないままに暦の上での夏は、残り少なくなった。

 

 

 

 

     息継ぎのたびに目に入る夏の雲

 

 

 

 

黒い雨 (新潮文庫)

黒い雨 (新潮文庫)