「日本の地名」 谷川 健一著
「地名はかっての庶民の暮しをいつまでも伝えている」この本の主旨はその一行に尽きる。「青」のつく地名から黒潮に乗って遥か南から北へ移動していった人々がいたこと、地名で辿る天竜峡から八代まで中央構造線づたいに展開した正史には書かれぬ南朝方の戦い、東北地方の広い範囲に残るアイヌ語の地名等々。地名はまさにこの列島に生きた人々の歴史の痕跡だ。
「地名の改ざんは歴史の改ざんにつながる。・・・日本人の共同感情の抹殺であり、日本の伝統に対する挑戦」と、このところの地名変更に筆者の怒りは強い。確かに、合併などで安易で美意識のかけらもないような地名がつけられるのは、筆者ならずとも苦々しい。一時期、わが市でも難読地名だからと改名を唱えた議員さんがいた。
この本に触発されて改めてこのあたりの地名を考えてみた。古い時代から残っていると思われる地名が多い。地形や地質に関するもの、歴史的由来に関するものと、分けられるような気がする。いつの頃からかこの地名を呼び交わしていた先人のことを空想するだけで、なんだか楽しい気になるではないか。
長良川より植田へと引きし水
- 作者: 谷川健一
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1997/04/21
- メディア: 新書
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