蜥蜴出づ

 二十四節気啓蟄。陽気に誘われ土の中の虫が動き出す頃というが、昨日より一気に春らしくなってきた。
 モンキチョウが飛び始めた庭先で、どこかの猫が随分と眠そう。岩合さんよろしく「いい子だねぇ」と声をかけて近づく。ちょっと警戒して眼を開くが、どうも眠気に勝てない様子。夜遊びが過ぎたようだ。
 辺野古への基地移転について国と沖縄県がもう一度話し合うという。解決への道筋がつけばいいのだが、本土の人間が沖縄の痛みを自分達のものと考えない限り、解決は難しいと思う。因みにわが街と米軍海兵隊は無関係ではない。沖縄へ移動の前にはわが街に駐留していたことを、どれだけの市民が知っているだろうか。戦闘服を着た米軍の行軍をこわごわと見ていた幼い頃が忘れられない。

     殺生をやめられぬ猫蜥蜴出づ