夏座敷

美濃市再々訪問

 娘夫妻が夫の野菜を取りに来た。忙しい子どもたちはもう一緒でない。久しぶりに五人で出かけようということになった。娘は気になる「道の駅」があるというし、娘婿は「卯建の町」行ったことがないと言うので、美濃市を再々訪問することにした。

 まず長良川沿いの「道の駅美濃にわか茶屋」へ。ここで昼にしようというのだ。平日なのに思ったより人が来ている。道の駅はどこもそうなのだが、野菜類が実に安い。胡瓜も茄子もアスパラもお安いが、あいにくわが家も取れだした。スーパーの3分の1ほどの値段で、地元産のにんにくと黄色い瓜(こうせき)、花びらにカットした干大根を買う。娘は「山紫陽花の苗木」を買って満足。生花の花材に育てるつもりらしい。

 昼食後町中へ。以前にも触れたが、町筋二つほどが昔ながらの雰囲気の残った「卯建の上がる町筋」である。江戸時代は川湊をもつ美濃紙の積みだし地として栄えただけに豪壮な屋敷がある。

 今は資料館となっている和紙問屋旧今井家を見学する。思えば前二回は入館しなかった。帳場から奥座敷、中庭を経て土蔵が三つと広い。中庭には水琴窟。水を注ぐと涼やかな音が響く。

 

          ころころと水琴窟や夏座敷

 

 町筋は休みの日のせいか燕がやたらと飛び交うのみで、静かである。飛騨古川やここは喧騒につつまれた高山などにないほんものの懐かしさがある。

 幸い曇天だがやや蒸し暑く、向かいの「甘味処」に入る。久しぶりにかき氷やら白玉ぜんざいなどを頼んで、みんなで回し食べしながら楽しむ。

 小坂酒造というやはり江戸時代からつづく造り酒屋さんも見学。日本酒好きの連れ合いは「吟醸生原酒」を手に入れて、ご満悦。

 帰り道、ここにも祭山車を収めた山車蔵があった。今は昔のことだが、かっては地方は地方なりに豊かで落ち着いた文化があったのだなあとつくづく思った。近頃はどこへ行っても同じ景色。特に新道が出来た郊外などはガチャガチャした大手資本の店ばかりで全くいやになる。寂しいものだ。