「土を喰う日々」 水上 勉著
例のつばた夫妻が愛読書と書かれていたのに惹かれて読むことに。「わが精進十二ヶ月」の副題のとおり一年にわたる精進料理の紹介。それも水上さん自身の手料理と美味そうな写真付き。氏は九歳の頃から禅寺に小僧として入られ、手伝いのような下働きから隠持として高僧の食事の世話も体験されたという。したがって、調理の腕も考えも生半可なものではない。時々道元禅師の「典座教訓」が引用され、「たかが台所仕事というふうに料理見ず、いかに食事をつくり、いかに心をつかうか、工夫するか、の行為はもっとも尊い仕事と強調」されている。毎日の台所しごとに倦み、時には手抜き、時には腹さえくちればよしとしたいい加減さを反省させられる。
最近たまたまNHKで「大和尼寺精進日記」なる番組を見たが、こちらはさらに今風に工夫された精進料理日記。こんな食材でこんな美味しそうな食べ方があるのかと目からウロコの数々。なかなかまねはできないがせめてその心の一部くらいはまねたいと思った次第。
新樹どちつつまんとし溢れんとす 中村 草田男
- 作者: 水上勉
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1982/08/27
- メディア: 文庫
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