登高

 陽数(奇数)が重なり、今日は「重陽節句」。五節句の中ではあまり馴染みがない。節句とは一体何?と思うのだが、暦の節目、五節句は江戸時代初めに幕府が定めたらしい。ひと桁最大の陽数(めでたい数)が重なることからか長寿を願う日ともされ、お酒に菊を浮かべて飲むと齢が延びるという。「菊の節句」というのはそのためかと思うが、菊の季節にはまだ少し早い。今年の旧暦9月9日は10月9日。この頃ならぴったりかも知れぬ。
 俳句には秋の季語で「高きに登る」「登高」というものがある。中国に「重陽茱萸を持って高い所に登り、菊の酒を飲み、長寿を祈る」という古い言い伝えがあることによる。
 偶然だがH殿が菊の鉢植えを買ってきた。今宵はこれを眺めて一献といきましょうか。
 さて掲載句だが長野県の「森将軍塚古墳」の山から見下ろした千曲川がまさにこのとおり。この句が頭にあって一句も作れなかったことを思い出す。



     登高や一曲見せて千曲川   鷹羽 狩行