新涼

 「見仏記 ゴールデンガイド篇」 いとうせいこうみうらじゅん
 このシリーズが図書館の棚を占めているのは前々から承知していたが、お二人の個性に圧倒されて手が出なかった。が、この度行きそこねた播州の寺の話があり、予習のために借りてきた。
 こちらもかなりの見仏マニアと自認しているが、この二人には脱帽。鋭く細かな観察眼、深い知識。密教には二つの派があり、それぞれによって大日如来の印相も違うなんて知らなかった。どうして見仏に熱中するのか。せいこうさんは「美術と宗教のどちらにも身を置かず、ただ双方を限りなく尊敬し、称えている・・」と自分たちの姿勢に触れているが、言い得て妙。
 陽気がよくなったら、そのキラキラしき御姿を拝しに出かけたい気持ち、ますます。



     新涼の床黒々と武道場