「ここが私の東京」岡崎 武志著
取り上げられた人物は筆者を含め十一人。佐藤泰志・出久根達郎・庄野潤三・開高健・藤子不二雄A・司修・松任谷由美・友部正人・富岡多恵子・石田波郷。 松任谷をのぞき、みな地方出身者、東京に夢を託して上京した面々である。後には「功成り名を遂げた」彼らが東京のどこでどんな青春を過ごしたのか、おなじ上京者である筆者の東京への熱い想いの重なったルポルタージュである。
佐藤や友部の話には近い時代に同じように青春を送った者として興味深いところがあった。(もっともこっちは田舎の大学生だが。)石田波郷は好きな俳人の一人であり、俳句は読んでいたが「江東歳時記」は初耳。庄野潤三「夕べの雲」が岡崎武志さんの生涯の一冊と知り、我が意を得た気分。一時庄野の生田の話が好きで片っぱしから読んでいたのを思い出す。どれもあまりにも同じようにように思えて読まなくなったが、あの慈しみと思いやりに満ちた家族像はいまでも目指すところ。それにしても、富岡多恵子が池田満寿夫のミューズであったとは、この本で初めて知った。
相変わらずの不安定な天気。Y一家は今日から海に出かけた。
息継ぎのたびに目に入る夏の雲
- 作者: 岡崎武志
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2016/04/10
- メディア: 単行本
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