冷ややか

 若狭への旅 二日目
 前日の風も止み、日差しもあり、さて、どうしようかということになる。前夜、歩きまわった旧町筋をもう一度歩いてみようかということに。前夜は日曜日の夜にもかかわらず宵の口でも人通りはさっぱり。まるでキリコの絵のように静寂そのもの。それに比べれば、さすがに週の初めの朝、鯖寿司の卸屋さんらしきお店からは商品の運び出しも。どこの町でも同じだが、郊外には大手資本の系列店ばかりで旧町筋は時代に取り残されたような店だけ。旅の者にとっては味わい深いが、問題は深刻にちがいない。


 町歩きのあとは若狭一の宮へ。神話の山彦と乙姫様がご祭神の若狭彦神社と若狭姫神社。いずれも杉の大木が並び立ち、神さびた雰囲気。姫神社は26年前にも訪れているはずだが、杉の大木以外はすっかり忘れている。

 昼前、港に戻って湾内めぐりの船に乗ることに。あいにく外海は波が荒いということで有名な「蘇洞門」までは行けず。26年前も行けず50年前の訪問時は行ったような記憶。それでも45分のクルーズはなかなか。少し肌寒いが秋の海を堪能。
 さて、これで若狭の旅は終了。高速道路が出来、3時半には帰り着いたほど若狭は近い。



     ひややかや日月古りし菩薩たち   石橋  秀野


    ひと口に余る鯖寿司温め酒