連翹(れんぎょう)

「俳句の海に潜る」 中沢新一・小澤實著
 時々コメントを書き込んでくださるこはるさんのお薦めの本。中沢さん好きのTが買ったというので回してもらった。所々中沢さん流の思考についていけないところもかなりあったが「俳句とアニミズムは根源的なところで繋がっている」という考えはよくわかった。小澤さんが中沢さんの「一元的アニミズム」を聞いて「石も木も人も風景もすべてが生まれ変わったように新鮮に見えてきたことが、忘れられない。」と書いているが同感だ。まさに俳句は宇宙のスピリットを宿した自然との交感のなかで自然のスピリットを詠んできたという本来の有り様を再認識させられた。
 アニミズム俳句の代表のようにして蛇笏さんと龍太さんが挙げられているので早速手持ちの「飯田龍太」句集を出す。確かにそこには自然のスピリットを詠んだ作品がかなり。例えば春の季語から
 満月に目をみひらいて花こぶし
 うぐいすに瀧音笑いつつ暮るる
などなど、この視点で龍太俳句を再読したいと思う。

 「俳句はアニミズムである。これは未来に向けた立派なスローガンです。」「莫大な量のモノに囲まれて、人間が自分の本質を見失っている時代」だから、俳句が「根源的な文化を持続している」意味を中沢さんは評価しているようです。句作りの正道を指し示された気がします。




     連翹の声そろいたる讃歌かな





俳句の海に潜る

俳句の海に潜る