『京都がなぜいちばんなのか』 島田 裕巳著
宗教学者」による京都観光案内である。よく知られた京都の観光名所の変遷や謎について紹介している。いずれも一度成らずも訪れたことのある場所であり、そこにそういう歴史が秘められていたのかと、まあまあ面白く読んだ。
書かれていた順に初めて知ったことなどをちょっとだけ紹介すると
まず「伏見稲荷大社」だがあの有名な千本鳥居は明治以降のものらしい。千本鳥居より驚いたのはお塚という祭祀遺跡。稲荷山内に無数に築かれているらしいが、山にのぼったことのない身にはその存在は初耳であった。これも千本鳥居同様明治以降の信仰によるものらしいが庶民信仰の膨大なエネルギーを感じさせるものらしい。
祇園祭で有名な八坂神社のご祭神がスサノオノミコトであるというのも初めて知った。祇園祭も牛頭天王に真夏の疫病退散を祈る行事と思っていたが明治以降はどうやらそうではないらしい。明治期の神仏分離が大きく影響してご祭神が変更になり、牛頭天王はスサノオノミコトであるということで納得するかたちになったらしいが変な話である。
明治期の神仏分離は先の稲荷大社にしろ八坂神社にしろ神社仏閣には大きな影響を及ぼしたようで奈良の聖林寺の国宝十一面観音立像なども衰退した三輪寺(大三輪神社の神護寺)の床下に転がされていたと聞いたことがある。
この本はあと清水寺や金閣寺・銀閣寺・平等院などにも触れているが、概ね歴史は変遷していくということだろうか。「そうだ、京都 行こう」と思うのだが最近のあまりの人の多さに躊躇してしまう。そんなことを言っていたらどこもいけないのだが以前この時期に出かけてバスはぎゅうぎゅう車は渋滞、昼食にすら苦労したことを思い出す。
さてさてこの本以外にもTの本棚で見つけた『京都、オトナの修学旅行』も異色の観光案内で面白い。この二人(山下さんと赤瀬川さん)は金閣寺も銀閣寺も建物に上がらしてもらっているのが羨ましい。もちろん一般人は外から眺めるだけだ。
またひとつ蜻蛉のりこむ草津線
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