『長いお別れ』 中島 京子著
この本は、認知症の父を廻る家族模様を描いた物語である。読んで初めて知ったことだが、認知症の人の最期を看取ることは「長いお別れ」と言うらしい。少しずつ記憶を失くし、ゆっくりと遠ざかっていくからだとあったが、まさに言い得ている。この話の父親も十年にわたる「ロンググッドバイ」であった。
さて、この手の話は、つい自分の身に引き換えて読まざるをえない。介護する側としても、される側としても、いつ降り掛かってくるかもしれぬ問題なのだ。厄介なものだなあと思う。長生きがあたりまえになったから、人生をうまく閉じるということは、最大の難事かもしれぬ。
肩凝りのなかなかとけず一葉忌
樋口一葉忌 11月23日