水無月

奥飛騨旅行  一日目

 県民割と旅コインの制度を使わせてもらって、小旅行をしようと思い立つ。制度利用の期限も間近く、天気の安定期間も考え、急遽宿の予約をする。二・三日前だったので空きも少なかったが、障害者の当方でも気兼ねなく温泉につかれそうで、お値段も手頃な宿が見つかる。

 一日の朝、8時出発。すでに相当に暑い。目的地は「新穂高ロープウェイ」。半世紀も前、職場の親睦旅行で訪ねて以来である。高速道路と一般道で約3時間。180キロの道のりである。乗っている分には緑の美しい車窓で申し分がないが、アップダウンが激しく運転手は相当緊張した模様。

 目的地11時到着。混んではいないが、ここでも暑い。昔は一段目のロープウェイしかなかったようだが(記憶がはっきりしない)、今は途中で乗り換えて一挙に2150メートル、展望台からは北アルプスの山々が目前に。山登りが趣味の人には見慣れた景色かもしれないが、雄大なパノラマにただただ感激する。笠ヶ岳、西穂高、焼岳などなど、高い嶺は谷筋にまだ雪が残る。残念なことに目の前の笠ヶ岳の山頂の雲が晴れない。さすが涼しいが、持っていった上着は必要なし。

西穂高

笠ヶ岳       

焼岳

 

      水無月の嶺雪残し円座組む

 

 一時間ほど雲上世界を楽しみ、乗り換え駅のしらかば平駅へ降りる。昼時間も過ぎていれば、ここのベーカリーショップ(アルプスのパン屋さん)で軽食を頂く。珍しいかなり美味しいパンである。ここの駅舎は新しく、障害者用多目的トイレも綺麗だ。(最近はこういう施設が充実していてありがたい)。

 時間はまだ2時、今日の目的はほぼ終了。宿に入るにはいかにも早いので絶景ポイントだという「北アルプス大橋」に寄ることにする。車のナビが反応しないので、初めてスマホのナビを使用。植物探索のアプリも役立つ。    

 3時早々とチックイン。我が身にとっては久しぶりの温泉である。万歩計のアプリが入れてなくて、どれだけ歩いたのかわからないのが残念で、宿で早速入れる。小ぢんまりした宿でBSも入らず野球が見られぬ連れ合いは、専らスマホの「一球速報」。それぞれネットばかり見ているのは、世の中の習性と一緒ということ。

 

奥飛騨の旅  二日目

 宿9時出立。今日もそれほど予定もないが、相変わらず朝から暑い。まず、「平湯大滝」による。岐阜県三大瀑布のひとつらしい。少し手前の駐車場から歩く。上り坂でかなりきつい。トシヨリ二人はフラフラノロノロ。沢の瀬音が激しく、蝉やら鳥の声が混じる。植物を探索し、鳥も調べる。20分ほど歩いてようやく大滝。さすがの落差である。瀬音が激しいばかりで、先客は誰もいない。

 

         大滝やどどろに混じる鳥の声

 

 駐車場に車中泊をしながら旅をしているお二人を見かける。車の上やらドアにケットらしきものをいっぱい干して車内のお掃除中である。若ければそういう旅もいいなあと見る。

 山を下り高山市内に。高山はもう何回も訪れ見るべきところもないと思っていたが、ネットで「光ミュージアム」というのを知る。ある宗教法人運営の美術館らしい。MOA美術館とかミホ・ミュージアムは行ったことがあるが、どんなものだろう。

 マヤの神殿に似せた異様な巨大な施設である。国宝の刀剣、日本画、西洋画などを多数収蔵展示していた。例えばモネ・ベラスケス・ユトリロゴッホなどなど。「エジプト展」が開催中であったが、これはみんなレプリカ。もうひとつの「北大路魯山人展」はわかりやすかった。海外のも含めて考古学史料も収蔵しているようだが、疲れたので小一時間で出る。

 例のごとく蕎麦屋で昼食、その後一挙に帰宅。到着は2時半。二日間の猛暑で鉢物はぐったり。夫はまず水やりである。