片かげり

『評伝 石牟礼道子』米本 浩二著

 良かったからとTに回してもらう。確かに興味深い中身であった。そして、ただただ石牟礼道子というただならぬ精神に圧倒された。

 あとがきで著者は「石牟礼道子の場合は底が見えない。」と書き、解説で池澤夏樹は著者の努力に敬意を払いつつ「それでも石牟礼道子はこの本からはみ出している」と書いた。その計り知れない魂に、並の人間が何おかいわんや。

 渡辺京二さんによれば、「『苦海浄土』は石牟礼道子私小説だ」ということだ。まずは、ノンフィクションと読み間違えていたところへ、読み戻らねばならない。

 

 石牟礼さんの「食べごしらえ」という言葉が気に入った。平凡な人間はせめて「食べごしらえ」ぐらいはちゃんとしなくては。今日は古い梅酒から取り出した梅をジャムにしてみた。マーマレードが底をついたら活躍しそう。

 

 

 

    亡くなりしいきさつをを聞く片かげり

 

 

 

「初霜」という銘柄だけに、田植えも収穫も遅いこの辺りの米作り。やっと水が入り始めて美しい。