『句あれば楽あり』 小沢 昭一著

 多分読んだことがあるのだが、中身はすっかり忘れているから何度だっていいのです。過日読んでいた「東京やなぎ句会」の続きのようなもので、小沢さんの韜晦した洒脱な語り口が心地よい。

 ちっとも上達しないと一日一句を志ざすなんぞ、スゴイ、スゴイ。五百句作って残した一句がこれ。

 秋風やこの橋俺と同い年

  万太郎さんがお好きだったようで、いくつか引いてありますが、万太郎さんはいいですねえ。

 湯豆腐やいのちの果てのうすあかり

 獅子舞やあの山越えむ獅子の耳

  渥美清さんも句会のお仲間だったようで、いい句が紹介してあります。

 コスモスひょろりふたおやもういない

彼は自由律だったようですね。役柄とは違ってシャイで淋しい人だったような。

俳句は、腹の中を「ちょっとこぼす、におわせる」。 そうできるところがいいと筆者も言ってますが、まさにそのとおり。ぐだぐだ言えない想いをちょっとだけ。

 ところで、私ごとですが、まだまだ精進がたりません。多分永遠に駄句の山を築きます。

 

 

 

 

        逼塞のさらに逼塞寒きびし